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エルディラーヌ

エルディラーヌ

人の世界と白銀の川を隔てたフィーンの国。アトーリスとギルデアの国境には切り立った断崖が続くが、王宮がたたずむ河畔は、なだらかな岸辺になっている。対岸はテスの森で、その果てには急峻な山々がそびえている。
一見おだやかに見える白銀の川は、浅瀬でも流れが複雑で、フィーンの水先案内人がいなければ、人の世界からエルディラーヌ側に渡るのは難しい。戦火が世界に広がる前、人びとが最後にこの地を訪れたのは、エルディラーヌの大会議の際である。

一年を通して温暖な常春の国。真冬、対岸の人の世界で雪が降っていても、エルディラーヌには別の季節が流れ、鳥が歌い、花々が咲いている。
古代アルディス王国の時代、エルディラーヌはすでに国家として存在していた。人との交流もあったと伝えられている。

紋章は、至宝であるダイヤモンド、サラファーンの星を象徴する青い羅針盤に、豊かな緑を表すグラデーション、白いレフィーレの花。

エルディラーヌの森には蝶や蜜蜂が飛び交い、固有の木々や薬草、草花、野鳥、小動物が多く生息し、風のように駆ける葦毛の駿馬も群れをなす。南アルディス海に面した断崖には、紅鴎のコロニーがある。人の世界が秋になると、春歌鳥藍色雁などの渡り鳥が飛来する。

王宮の庭園や森では、ハーブや野菜、ライ麦や栗麦などが栽培されている。木の実やきのこも豊富に採れる。果樹園では、さまざまな果実がたわわに実っている。養蜂も盛んで、野の花のあっさりしたものから濃厚な灌木の花の蜜まで数十種類に登る。また、羊や山羊のクリームやチーズ、ヨーグルトも繊細でありながら、独特のこくがあり、大会議の際やエレタナ王女誕生の祝宴では、年代物の葡萄酒とともに、人びとを感嘆させた。
森の奥地で採取される銀は、非常に軽く、それでいて鋼のように丈夫である。また、フィーンの絹で織る織物は、そよ風を纏うような風合いで、春の光のように暖かい。