かつて、地上には、人の住む六つの王国と、永遠の命を持つという神秘の民フィーンの王国が、平和のうちに栄えていた。だが、ギルデアの王子ダイロスが、フィーンの聖なるダイヤモンドを奪うと、世界に暗い影がさしはじめる。

ダイロスはダイヤモンドで光の剣を造り、不死の存在、灰色の騎士を生み出して、隣国を侵略。ギルデアは強大な帝国となり、皇帝の座に就いたダイロスは、他国にも戦争を仕掛ける。
不死の軍隊を前に、絶望が世界を覆った。そのとき、フィーンの預言者が、光の剣を手にしてダイロスを止める者が現れると預言。ダイロスは剣を隠し、その魔力は封印される。しかし、帝国の力はすでに恐るべきものとなっていた。

フィーンの王は各国の代表を呼んで会議を開き、フィーンと人間の連合軍が結成される。その舞台裏で、アトーリスの王子ランドリアがフィーンの王女と恋に落ちた。人とフィーンの許されぬ恋。ふたりは深夜、最果ての国へと逃げる。

十九年後。預言に謳われた勇者がいっこうに現れぬなか、ランドリアの母国で、ひとつの街を一瞬にして廃墟に変える兵器〈氷河〉の開発が最終段階に入る……。

〈サラファーンの星〉4部作(東京創元社)